ポゼッションサッカーとは?意味やメリット、デメリットなどを解説

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2018ロシアワールドカップ直前になって「縦に速い」サッカーを志向するハリルホジッチが監督を解任されました。

これによって日本の選手が望むとされる「ポゼッションサッカー」に回帰するのではないかと言われていますね。

ではこのポゼッションとはどのようなサッカースタイルのことなのでしょうか?

この記事ではポゼッションサッカーの意味やメリット、対策などを紹介してきたいと思います。

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ポゼッションとは?

サッカーにおけるポゼッションとは「支配率」の事を指します。

該当のチームがどれだけボールを保持できているかを表す数字で実況中では「ボールポゼッション○○%」などという風に表記されます。

このボール支配率を高めるためにロングボールなど不確定要素の高いプレーを極力行わず、細かいショートパスを繋ぎながら相手陣内に攻め込むサッカーのことを「ポゼッションサッカー」と呼びます。

最もポゼッションサッカーで有名なのはジョゼップ・グアルディラが率いていたバルセロナで、一試合中のボールポゼッションが80%を超えることも珍しくなかったですね。

グアルディオラはバルセロナを退団した後もバイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・シティでそれぞれポゼッション率の高いサッカーを続けています。

ポゼッションサッカーのメリットは?

ボールを保持できる

ではポゼッションサッカーのメリットはどこにあるのでしょうか。

まずポゼッションサッカー第一のメリットは何と言ってもボールを長時間保持できることです。

ボールを長い時間持つことができれば、相手に攻撃されることもなく自分達のペースで試合を進める事ができますよね。

よくポゼッションについて「攻撃は最大の防御」などと表現されますが、まさにその通りだと言えるでしょう。

体力が温存できる

比較的スタミナを温存できるというのもポゼッションのメリットになります。

バルセロナを率いていた名将ヨハン・クライフは「ボールを回せ、ボールは疲れない」という名言を残していますが、その言葉通りポゼッションサッカーは基本的にパスを回しながら進めるスタイルですので走り回るサッカーより体力の消耗を抑えられます。

ボールを奪い返しやすい

またポゼッションサッカーではショートパスを効率よく回すために、フォーメーションを基本的にコンパクトに保ちます。

選手間の距離が近いので、仮に前線でボールを失ったとしても他の選手がカバーに入りやすく、早期にボールを奪い返しやすいというメリットもあるのです。

グアルディオラは選手たちに「5秒ルール」というボールを失った際に5秒だけ奪い返すチャレンジをし、できなければ下がるというルールを課していましたが、これもポゼッションサッカーのメリットを活かすルールだと言えるでしょう。

高さやフィジカルの重要性が比較的低い

細かくパスを繋いで攻めるポゼッションサッカーではカウンター戦術などに比べて比較的高さやフィジカルの重要性が高くありません。

もちろんあるに越したことはないのですが、バルセロナのシャビやメッシ、イニエスタなどに代表されるように身長が低くフィジカルコンタクトに決して強くない選手でも技術さえ高ければ問題なくプレーできます。

日本でポゼッションサッカーを志向する選手、指導者が多いのも体格で不利な日本人のデメリットを補えるメリットがあるからです。

ポゼッションサッカーのデメリットは?

高い技術とセンスが要求される

上記のようなメリットがあるポゼッションサッカーですが、もちろんデメリットや難しさも存在しています。

まずはポゼッションサッカーができる選手の揃えにくさです。

ポゼッションをするならば絶対的な足元のボールコントロール技術、パスの技術、フリーの選手やスペースを見抜くセンスが必要になります。

しかも中盤の選手だけでなくディフェンダーやゴールキーパーにまでそういった能力が要求されますね。

こういった能力を高い水準で備えている選手は滅多にいるものではないです。

したがってポゼッションサッカーができるのはトップクラスのチームに限られているのが現実ですね。

連携が必須

パスを効率よくポンポンと繋いでいくには選手間の連携が必須です。

なので常に一緒に練習できるクラブチームならばまだいいですが、一緒に練習できる時間の少ない代表チームでポゼッションサッカーをするのは至難の業です。

代表チームでポゼッションサッカーをしているチームとしてはスペイン代表が挙げられますが、スペインは幼い頃から共通した意識のもと練習できていますし、バルセロナ、レアル・マドリードといった特定のビッグクラブから多くの選手が選ばれるので連携面でのデメリットは少ないですね。

遅攻になりがち

ポゼッションサッカーは少しでも11人の意識が乱れるとただボールを保持するだけでゴールにすぐに向かわない「遅攻」になりがちです。

もちろん遅攻はそれはそれで有効な状況もありますが、判断が鈍ると速く攻めなければならない状況でも遅い攻撃に終始し、相手に守備ブロックを作る時間を与えてしまうことが多いのもデメリットの一つでしょう。

ポゼッションサッカーを志向する日本代表はこういった状況になることが多く、「相手を崩すためにポゼッションをする」のではなく「パスを回したいがためにパスを回す」という手段と目的がごちゃごちゃになったサッカーになってしまう事があります。

最終ラインの裏を取られやすい

ポゼッションサッカーは上記の通り選手間の距離をコンパクトにして攻める戦術であるため、攻撃の際は多くの選手が敵陣に入る事になります。

するとどうなるかというと高くなったディフェンスラインの裏を取られやすくなってしまいますね。

ポゼッションサッカーをするチームは時折カウンター攻撃に屈することがありますが、それはディフェンスラインが高いというポゼッションサッカーの特徴によるものです。

ポゼッションサッカーに必要な選手の能力は?

ゴールキーパー

ポゼッションサッカーは上記のようなメリットを活かし、デメリットを消すために各ポジションにクオリティの高い選手を置く必要があります。

まずはゴールキーパー。

ポゼッションサッカーにおけるゴールキーパーはセービングの能力はもちろんのこと、後方でパスを捌く足元の技術も必要になります。

ポゼッションサッカーは後方から起点を作る「ビルドアップ」が非常に重要なため、ゴールキーパーもパス回しに参加する必要があり、フィールドプレーヤーと同じくらいのテクニックが要求されます。

マンチェスター・シティの監督に就任したグアルディオラはそれまでゴールマウスを守っていたイングランド代表ジョー・ハートを「足元の技術が低い」という理由で冷遇し、バルセロナからクラウディオ・ブラボを引き抜いたりしていますね。

現在ではフィールドプレーヤー並みのテクニックを持つブラジル代表エデルソンを重用しています。

ポゼッションサッカーにおいてゴールキーパーのテクニックがいかに重要かという事でしょう。

ディフェンダー

ディフェンダーもキーパーと同じく足元の技術が必須です。

ポゼッションサッカーにおけるビルドアップは2人のセンターバックがペナルティエリアの横幅一杯に広がって行うためプレスをかいくぐるボールコントロール技術が要求されます。

また守備範囲の広さも重要。

上記の通りポゼッションサッカーはディフェンスラインが高いため、裏抜けをケアするためにセンターバックは後方にある広大なスペースを少ない人数でケアしなければなりません。

ポゼッションサッカーでは最も重要なポジションであると言ってもいいでしょう。

そのため鈍足タイプのディフェンダーはポゼッション戦術に向いていません。

アンカー

スペイン語で「ピボーテ」と呼ばれるアンカー、守備的ミッドフィルダーも重要ですね。

ディフェンスラインの前に立ち、中盤底の守備を締めながらディフェンダーの間に入ってビルドアップを手助けし、なおかつ中盤のパス回しの起点となるポジションです。

足元の技術の高さ、冷静な判断能力、守備の強さが要求される難しい仕事ですね。

ポゼッションサッカーにおけるアンカーの最高峰はやはりバルセロナのブスケツになるでしょう。技術といい判断力といいポジショニングの正確さといいポゼッションサッカーには欠かせない選手です。

フォワード

ポゼッションサッカーにおけるフォワードはただペナルティボックスの中に居座ってラストパスを待つだけの選手ではこなせません。

中盤の選手がパスを回しやすいように時には中盤に下がってパス回しの補助、時にはサイドに流れてスペースを作ってあげられる選手が必要です。

バルセロナのメッシは得点能力だけでなく、こういった動きも上手いためバルセロナのエースで居続けています。

身長が低いメッシがセンターフォワードとしてプレーしていたこともありますね。これは「ゼロトップ」や「偽の9番」(9番はストライカーの意味)といって前線に張っているだけでなく、状況によって自由にトップ下やサイドに流れていく役割のことです。

ポゼッションサッカーの対策は?

ハードな前プレス

ポゼッションサッカーへの対策としてはハードな前プレスが重要になります。

ポゼッションを展開するチームはディフェンスラインからショートパスによるビルドアップを行うので体力のあるうちにディフェンダーに積極的にプレスを掛ければボールを高い位置で奪う事ができ、ビッグチャンスになる可能性があります。

ビルドアップ自体を不自由にさせるという対策ですね。

バルセロナ相手にモウリーニョのレアル・マドリードがそうしたように、クロップのドルトムントがバイエルンに見せたようにです。

ただしこの対策はスタミナの消費が激しいので選手とチームを選びます。

極端なブロックを組む

もしくは前で奪う事を諦め、自チームの選手ほとんどを自陣内に戻して強固かつコンパクトな守備ブロックを組むという戦術も対策としては有効でしょう。

ポゼッションサッカーはコンパクトな陣形を組んで攻める戦術なので、対抗するには守備側もコンパクトな守備ブロックを組み、相手のプレースペースを極限まで減らすのです。

ポゼッションのチームがドン引きの相手を崩せず得点を奪えないシーンはよく見ますよね。

近年ではアトレティコ・マドリードが比較的高い位置に4-4-2の守備ブロックを置き、リトリートとプレスによる守備でバルセロナ対策を行っています。

ポゼッションサッカーはカウンターサッカーの対義語ではない?

パスを回すポゼッションサッカーはよく守備ブロックを固めて速攻を狙うカウンターサッカーの対義語のように扱われることが多いですよね。

日本でも「ポゼッションか速攻か」なんて議論がよく交わされていますが、そういった極端な分類は危険です。

ポゼッションサッカーを基本としていても速く攻める状況では早めにボールを縦に出して攻められるのが理想ですね。

実際にグアルディオラ期のバルセロナはポゼッションしつつも高い位置でボールを奪ってショートカウンター、というシーンもよく見られました。

日本でもポゼッションサッカーの是非について議論する時にはカウンターと別個にして扱うのではなく、状況によって両立できる、しなければならない戦術だという認識をもっと持つべきでしょう。

ポゼッションサッカーの実践は大変だが・・・

上記のようにポゼッションサッカーには現状デメリットもあり、実践するのが難しい戦術でもあります。

しかし共通した意識を持ち、パーフェクトなパスの精度で小気味よくパスを繋いで相手を崩すサッカーは魅力的ではありますね。

日本で完璧なポゼッションサッカーを実践するにはスペインのように育成年代からしっかりとした教育を行っていく必要がありますが、ワールドカップ経験者たちが続々と指導者になる時代になってきたのでいつか理想のポゼッションサッカーができる日も来るでしょう。

それでは最後にポゼッションサッカーの最高峰スペイン代表のパス回し動画をシェアします。短い距離でよくパスが繋がっている様子が分かりますね。

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