ハリルホジッチ率いるサッカー日本代表はカウンターを軸としたサッカーを展開しています。
他にも世界中のリーグでカウンターを主体としたチームが好成績を残していますよね。
ではこのカウンターとはどういった戦術なのでしょうか？
この記事ではサッカーにおけるカウンターの意味と効果、カウンターを行うメリット、求められる選手の能力などを紹介したいと思います。
サッカー用語のカウンターとは？
サッカーにおけるカウンターは分類でいうと「戦術」用語になります。
自陣内にほとんどの選手が引いて守備ブロックを作り、相手をあえて攻めさせ、ボールを奪って守備が薄くなった敵陣に一気に侵入してゴールを奪う戦術です。
敵陣に積極的にプレスをかけてボールを奪う「ハイプレス」戦術や、ボール回しを重視しボールを保持してプレーを進める「ポゼッション」戦術とは反対の戦術になりますね。
カウンターには大きく分けて２種類あり、選手のほぼ全員が自陣に引き、奪ってからロングボールなど長いボール使って攻める「ロングカウンター」と比較的高めの位置からプレスをかけて攻めの機会を増やす「ショートカウンター」に分けられます。
カウンター戦術のメリットは？
足りない戦力でも比較的勝ちやすい
サッカーでカウンターを行う第一のメリットは多少選手のクオリティが相手より劣っていても好成績を残しやすい所です。
上記の通りカウンターは相手を攻めさせて薄くなった敵陣を一気に突破する戦術なので、ストライカーのスピードさえ相手より上回っていれば他の能力が足りなくても得点チャンスになるのです。
実際サッカーで大番狂わせを意味する「ジャイアントキリング」は多くの場合カウンター戦術を採用しているチームが起こすことが多いですね。
リスクが少ない
上記のジャイアントキリングを起こしやすいという点にも共通しますが、カウンター戦術は基本的に自陣に多くの選手が戻り、ブロックを組んで守る戦術のため守備が安定しやすいのもメリットです。
サッカーは１試合における得点数が少ないロースコアスポーツであるため失点を防げれば勝ち、または引き分けにも持ち込みやすいです。
そのためアトレティコ・マドリードなど力のある選手が揃っている上位チームでもカウンターを戦術として採用しているチームは多いですね。
カウンター戦術のデメリットは？
守備に追われる時間は長い
このようなメリットを持つカウンターアタックですが、デメリットもあります。
まずは「守備の時間が長い」という事です。
紹介した通りカウンターは必然的に攻められる時間が長いです。上記のように上手くいけば守備は安定するのですが、選手にとっては精神的に楽ではなく９０分間集中力を切らさずにプレーする必要があります。主導権を握られた状態からそれを跳ね返すには強い精神力が必要になります。
質の高いディフェンダーを揃えなければならないのも簡単ではないですね。
同じカウンターチームとの対戦で手詰まりも？
また同じようにカウンターを主体とするチームと対戦した場合の攻めも難しくなる場合が多いです。
カウンター戦術は相手にボールを持ってもらいたい戦術なので、お互い同タイプの戦術を採用するチームだとカウンターが発動できず、ゴール前で固い守備を相手に攻め手がなくなってしまう事も多いのです。
これを打開するには個人能力の高いプレーヤーや工夫を加えられるプレーヤーが必要になります。
カウンターのチームと言えば？
近年このカウンター戦術を採用して好成績を残したチームと言えばやはりレスター・シティになるでしょう。
２０１５－２０１６シーズンのプレミアリーグにおいて４ー４－２を採用した堅守速攻のカウンタースタイルで優勝を果たしたチームです。
前年には降格争いをしていたようなチームが一気にプレミアの頂点まで上り詰めたストーリーは劇的で「おとぎ話」と呼ばれましたね。
戦力的にはビッグクラブに劣っていたレスターが優勝したという事実はカウンター戦術の有効性を大きく知らしめたと思います。
それでは下記に優勝を果たしたレスター・シティの選手達を参考にカウンター戦術に向いている選手や能力を考えてみたいと思います。
カウンター向きの選手と能力とは？
ディフェンダーに求められる能力
カウンター戦術においてディフェンダーのクオリティは非常に重要です。
上記の通りカウンター戦術は相手を攻めさせる戦術ですので相手に押し込まれる時間が多くなります。
ここで失点してしまってはカウンターを採用した意味がないのでセンターバック及びサイドバックには絶対的な対人守備の強度、高さ、フィジカルコンタクトの強さが求められますね。
最終ラインは低めに設定するのでスピードはそれほど必要ありません。
優勝時のレスターにはウェズ・モーガン、ロベルト・フートといった屈強なディフェンダーがいましたね。
ミッドフィルダーに求められる能力
カウンターサッカーにおけるミッドフィルダーの役割は主に３つあります。
まずは「中盤底での守備」です。
相手の攻撃が最終ラインに到達する前に中盤でボールを奪えれば素早い攻撃に転換しやすく、カウンターでは有効になります。
優勝時のレスターには現在チェルシーに所属するエンゴロ・カンテというボールハンターがいました。
２つ目は「繋ぎ」の能力です。
奪ったボールを一発で前線に届けることができれば得点チャンスは広がります。優勝時のレスターにはこちらも現在チェルシーに所属するドリンクウォーターがこの役割を担っていましたね。
３つ目は「運ぶ」能力です。
カウンター戦術は相手の薄くなった守備を狙う戦術なので攻撃時はスペースが比較的大きく空いています。
そこを素早いドリブルで運ぶことができれば大きなチャンスになりますね。
レスターではリヤド・マフレズというスピード、テクニックを兼備したトップクラスのアタッカーが何度もチャンスを創り出していました。
フォワードに求められる能力
カウンターサッカーでフォワードに求められる能力は「スピード」と「シュート精度」です。
カウンターによる攻撃は上記の通りスペースが多い場合がほとんどですし、相手のディフェンダーも戻りながら守ってくるのでスピードがある選手はそれらの選手を振り切ることができ、それだけで非常に有利です。というか必須に近い能力です。
またカウンター戦術は攻撃の機会が決して多いわけではないので少ないチャンスをきっちり決めきるシュート精度も重要ですね。
レスター・シティには優勝シーズン、プレミアリーグ１１試合連続ゴールという新記録を樹立し、一瞬のスピードに優れるジェイミー・ヴァーディという絶対的なエースストライカーがいます。
こうして見ると優勝したシーズンのレスター・シティにはカウンター戦術に向いている選手が非常にバランスよく揃っていたチームだと言えますね。
カウンターは現代サッカーに欠かせない戦術
上記の通りカウンターは格下のチームが格上のチームと対戦する際には欠かせない戦術です。
カウンター戦術は守備の時間が長いのでよく「つまらない」と称されることも多いですが、カウンターが決まった時の爽快感は抜群なのでカウンターサッカーチームを見る際は守備から攻撃までの流れに注目することをおすすめします。
では最後に前線３枚による高速カウンターの破壊力が高いリバプールＦＣの動画をシェアしてこの記事を締めたいと思います。