サッカーでスローインは１試合の中で与えられる回数が多く、重要なプレーとなっていますよね。
そんなスローインの中でもゴールに直接結びつきやすいのが「ロングスロー」と言われるプレーになります。
数年前の高校選手権で活用するチームがあり、注目を浴びました。
この記事ではロングスローについて紹介していきたいと思います。
ロングスローとは？
サッカーにおけるロングスローはセットプレーであるスローインの一種です。
通常のスローインは近くの選手に軽く投げることが多いですが、このロングスローは名前の通りタッチラインからペナルティエリアの中、つまりゴールに近い位置まで長い距離を飛ばすスローインになっています。
つまりクロスボールやセンタリングの一種とも言えるのです。
ただし通常のスローインと同じくロングスローが直接ゴールに入ってしまった場合、ゴールは認められません。
このロングスローは通常のスローインのように立ったまま投げる投げ方の他に、派生として前転後その反動を活かして長距離を飛ばすハンドスプリングスロー（フリップスロー）という投げ方もあります。
ロングスローのメリットは？
ゴール近くに放り込める
ではロングスローを行うメリットを紹介していきます。
まずは上記でも少し触れましたが、ロングスローはゴールの近くまで放り込むスローインなので比較的チャンスに直結しやすいです。
サッカーにはフリーキックなどいくつかのセットプレーが存在していますが、中でもスローインは１試合中に与えられる機会が多いセットプレーになっているのでロングスローをどんどん投げられる選手がいれば有利になりますよね。
オフサイドにならない
これも通常のスローインと同じですが、ロングスローはオフサイドになりません。
つまり相手の最終ラインより後ろに味方がいたとしてもオフサイドを取られずシュートに持ち込むことが可能なのです。
したがって優秀なロングスロワーを抱えるチームがゴール近くのサイドでスローインを得た場合、ゴール前はコーナーキック時の守備を思わせるほどのカオス状態になりますね。
対処法としてはマンツーマンディフェンスでロングスローの受け手に食らいついて守備をする以外有効な手段はほとんどありません。
ロングスローのデメリットは？
投げられる人が少ない
上記のメリットを見るとロングスローは非常に有効な攻撃手段に見えます。
しかし欧州のトップリーグでロングスローを効果的に使っているチームは多くありません。いくつかのデメリットがあるからです。
まずロングスローの根本的なデメリットとして挙げられるのはスロワーの少なさです。
サッカー選手は当然ながらスローインでボールを遠くに投げるための筋力トレーニングは特定のチームを除いてあまり行いません。
基本的に走って、ボールを蹴ることで進行するスポーツなので他にトレーニングしなければならない個所がたくさんありますからね。
したがってロングスローでペナルティエリアの中まで届くほどの筋力を持っている人はそもそも少ないのです。
飛距離が足りない
またいくらロングスローが比較的通常のスローインより飛ぶからといって足で蹴るクロスボールより飛距離、精度共に落ちるのは否めません。
上記の通りロングスローはオフサイドにならないというメリットこそあるものの、足で蹴るクロスボールの方が飛距離が出ますし、カーブも掛けられます。
ロングスローはボールを手で扱うから精度が高い、という意見もありますがプロのサッカー選手であればロングキックの方が間違いなく精度は高いです。
したがってロングスローを狙うより他選手の足元にボールを落としてクロスボールを狙った方が効率がいいと考えるチームが多いのです。
受け手のサイズも重要
またロングスローはスロワーだけでなく、受ける側の能力も大事です。
ロングスローによって放られたボールはやはり足で蹴るクロスボールに比べて鋭さを欠き、山なりの軌道を描くことが多いです。
こういった山なり軌道のセンタリングに対応するには受け手側に身長の大きさ、フィジカルコンタクトの強さ、ヘディングの精度といった能力が要求されます。
そういった選手がいるならばいいですが、身長の小さいフォワードが多いチームだとロングスローの採用は現実的ではありません。
ロングスローは上手く使えば効果的
とはいえロングスローは条件さえ噛み合えば有力な攻撃手段であることは間違いないです。
上記のようなデメリットがあるため試合を通じてひたすらロングスローを放り込むのは簡単ではないですが、オフサイドも取られないのでたまに意表をついて狙う分には十分ありでしょう。
もしくは元やり投げの選手であり、ストークシティで一世を風靡したロングスローの名手ロリー・デラップ並みのスロワーがいる場合も強力な攻撃手段になります。
デラップのロングスローはもはやフリーキックと変わらない威力を持ち、飛距離４０ｍ以上とも言われるライナー性のロングスローをペナルティエリア内に叩きこむことができました。
ここまでロングスローの威力が高い人がいればメインウェポンとして戦術に組み込んでもいいですね。
それではこの記事の最後に「人間発射台」ロリー・デラップのロングスロー動画をシェアして締めたいと思います。